広告クリエイティブの仕事は、大きく二つの時間でできています。競合を「探す」時間と、実際に「作る」時間です。ツールを開いて条件を入れ、並び替えて、当たっているものを拾う。そこからデザイナーに渡して、形にしてもらう。どちらも必要な工程ですが、どちらも人の手が空いていないと進みません。
金融ジャンルを中心にアフィリエイト広告を手がける代理店A社様は、動画広告分析Pro(DPro)のMCPを使って、この二つをどちらも人の手から外しにいきました。競合の収集は定期実行で自動化し、そこで集めた”当たっている表現”をもとに、バナーの制作までAIに通す。制作本数は、体感で50倍になったといいます。クリエイティブ制作を担当されているご担当者様に、その組み方を伺いました。
この事例のキーワードが「MCP」です。むずかしそうに聞こえますが、ざっくり言うと「AIに、外部のツールやデータを直接つないで使わせる仕組み」のこと。ここでは「手元のAIエージェントに、DProが集めた広告クリエイティブのデータを取りに行かせる」イメージだと考えてください。
※ 本記事は、取材にご協力いただいた企業様のご意向により、社名・お名前を伏せて掲載しています。記事の内容は、すべて実際の取材に基づくものです。
お話を伺った方
- 会社名:金融広告代理店A社 様(ご意向により社名は非公開)
- 事業:アフィリエイト広告。金融を中心としたジャンルでSNS広告を展開
- お話を伺った方:クリエイティブ制作ご担当者様(ご意向によりお名前・お写真は非公開)
「探す」をやめる。条件だけ出して、向こうから上げてもらう
ご担当者様は、社内でもっともDProに向き合っている立場です。ベンチマークとして、同じジャンルの競合動画を継続的にチェックする——これが日々の基本動作でした。
ただ、この「チェックする」が曲者です。ツールを開き、条件を入れ、並び替えて、目ぼしいものを拾う。一回あたりは数分でも、複数の案件を並行して回していれば、その回数だけ積み上がります。
そこでご担当者様は、AIエージェントにDProのMCPを連携し、収集そのものを定期実行に載せました。
弊社のAIエージェントのところに連携させて、ベンチマークしているジャンルの上位や、全体で伸びているような動画を出してもらっているところを、定期実行で。条件はこちらから提示して、「直近2日でいい」といった形で出してもらっています。
金融広告代理店A社 クリエイティブ制作ご担当者様
変わったのは、探す主体です。
今まではどちらかというと、こちらでフィルタリングしていたのが、あちらから出してもらうようになった。今までのように並び替えて検索して、という手間は、もう完全に省けました。あちらから自動で提案してくれるようになったので、ほぼ全部という感じです。
金融広告代理店A社 クリエイティブ制作ご担当者様
条件を決めるのは人、集めるのはAI。この分担にしてしまえば、「今日は競合を見る時間がなかった」という日がなくなります。
分析で終わらせず、”提案”までさせる
もう一段おもしろいのが、集めたあとの使い方です。A社様は、競合データをそのまま眺めるのではなく、自社のノウハウと掛け合わせています。
出してもらった上で、うちのノウハウもAIに入れてあるので、「こういうのがあったんじゃないか」という提案のところもAIがしてくる。競合で当たっているものと、自社で当たっているものを掛け合わせて、「こういうのがいいんじゃないか」という提案までしてもらうようにしています。
金融広告代理店A社 クリエイティブ制作ご担当者様
新しいクリエイティブを作るとき、いちばん重いのは最初の一手——何もないところから方向を決める工程です。競合の実データと自社の勝ちパターン、その両方を持ったAIが先に案を出してくれれば、その最初の一手が軽くなります。
新規のクリエイティブや、新しいものを作るときは、競合のものを参考にして作ります。そこの提案のところをやってもらっているのが大きいかなと思っています。
金融広告代理店A社 クリエイティブ制作ご担当者様
そして「作る」まで渡した──バナー制作は、ほぼ自動になった
この事例のいちばんの山場が、ここです。
以前の画像広告(バナー)の作り方は、こうでした。当たっているものを自分でピックアップし、それをベースに、社内のデザイナーへ制作を依頼する。ごく標準的な進め方です。
いまは違います。競合で当たっている表現の傾向をMCPで収集し、その示唆をもとに、自社のバナーを生成するところまで通してしまう。画像生成ツールと組み合わせて、一連の流れをスキルとして固めているといいます。
競合に当たっている、こういうバナーテキストが当たっていますよ、というのをMCPで収集してきてもらって、なんならその画像を作ってもらう。そういうところを一気に賄えるうえに、膨大な量を一度にできる、というところがあって。
金融広告代理店A社 クリエイティブ制作ご担当者様
どこまで自動なのか。ここでの答えが、率直に驚きでした。なお、以下の数字はいずれもご担当者様の体感値です。
正直、もう9割9分は自動です。
金融広告代理店A社 クリエイティブ制作ご担当者様
本数対比でいったら、本当に50倍とかになっています。こちらから依頼して作成までお願いしたら、10本、20本、30本と作って、一気に提案してくれる。効率化というところが、圧倒的に速くなりました。
金融広告代理店A社 クリエイティブ制作ご担当者様
※「9割9分」「50倍」は、いずれもご担当者様の体感値です。案件やジャンルによって変わります。

もう少し具体的に、バナーが出来上がるまでの流れで見てみます。

なお、すべてのジャンルで同じようにいくわけではありません。ご担当者様によれば、金融のようにイラストやアニメーション表現と相性のよい領域は、生成で作りやすい。一方、実写の質感が要となる商材では、人が手をかける比重が変わってきます。得意な領域から入る、という順番はここでも同じです。
効いた理由は、「成果報酬」という前提にあった
なぜ、制作本数がここまで効くのか。A社様のビジネスモデルを聞くと腑に落ちます。
クリエイティブは、うちは成果報酬でやっているんです。当たったら、そのぶん広告費も伸ばせる。そこが一番寄与しているところかなと思っています。
金融広告代理店A社 クリエイティブ制作ご担当者様
当たるクリエイティブを引き当てる確率が同じでも、試行の回数が増えれば、当たりの絶対数は増えます。成果報酬なら、それはそのまま事業の伸びになります。つまりA社様にとって「制作本数」は、作業量の指標ではなく、売上に直結する変数だということです。
定量的にいちばん寄与したのは何か、という問いへのご担当者様の答えが「制作の本数」だったのは、そういう理由でした。
どこまでをAIに渡し、どこを人が握るのか。整理すると次のようになります。

まとめ:探す時間と作る時間を、両方あけにいく
競合分析ツールの使い方は、多くの場合「探す」で止まります。開いて、絞って、見つけて、そこから先は人の仕事——という切り分けです。
A社様の組み方は、その線を二段階ぶん先へ動かしていました。探すのを自動化し、集めたデータに自社のノウハウを重ねて提案までさせ、さらに画像の生成まで通す。人が握っているのは、条件を決めることと、出てきたものを見て判断すること。ここは渡していません。
競合を「探す」時間と、クリエイティブを「作る」時間。どちらも、まだ自分の手で持っていませんか。
競合の収集から、クリエイティブの制作までをひと続きにしたい——そう感じた方は、動画広告分析Proに相談してみませんか?
