AIで広告バナーを作る。試したことのある人は、もう多いはずです。ところが出てくるのは「それっぽい画像」で止まりがちで、そのまま配信に載せられる一枚には、なかなかならない。差が出るのは、AIの性能そのものよりも、何を渡すかでした。
デジタルマーケティングを手がけるsol株式会社様は、動画広告分析Pro(DPro)のAI生成機能「ProAI」で、SNS広告のサムネイルを制作しています。1枚あたり20分かかっていた制作が、いまは5分もかからない。しかも成果は、以前と同水準を保っているといいます(制作時間・成果はいずれも体感値)。その使い方を、クリエイティブを担当する石橋 ゆりえ様に伺いました。
この事例に出てくる「ProAI」は、動画広告分析Pro(DPro)のクリエイティブ生成機能です。参考にしたい画像と、入れたいコピーやターゲットを指定すると、広告バナーの案が画像として出てきます。
お話を伺った方
会社名:sol株式会社 様
事業:デジタルマーケティングを軸に、広告運用・クリエイティブ制作などを手がける。
お名前・部署:石橋 ゆりえ 様(マーケティング事業部 クリエイティブリーダー)
公式サイト:https://sol-inc.com/
1枚20分。手は動くが、テストの回数が増やせない
sol株式会社様が制作しているのは、SNS広告のサムネイルです。記事LPやLPでキャンペーンが走るたび、その訴求に合わせた一枚が要る。数が必要な領域です。
ProAIを使う前は、デザインツールで作り込んでいました。品質は出せる。ただ、時間がかかります。
デザインツールで作ろうとすると、調整していたら20〜30分ぐらいはかかるかなという感じですね。
sol株式会社 石橋 ゆりえ 様
AI画像生成も試してはいました。それでも、手軽とは言えなかったといいます。
以前も別の画像生成AIで作ってはいたんですけど、結構細かめに指示を出したりとか、同じように当たりの要素を入れて「この要素で作って」とかをやっていて。ここまでの手軽さというのはなかったですね。
sol株式会社 石橋 ゆりえ 様
渡すのは「LP全部」ではなく、「当たっている1枚」
ここが、この事例のいちばんの核心です。石橋様は最初、LPをまるごと読み込ませる使い方を試しました。結果は、うまくいきませんでした。
一回LPを読み込ませて、こういうサムネを作ろうとしたんですけど、そうするとLPに入っている要素を全部入れ込もうとしてしまって、なかなかいいものができなかったんです。
sol株式会社 石橋 ゆりえ 様
渡す情報が多いほど良いものが出る、とはかぎらない。むしろ逆でした。そこで渡し方を変えます。
1つのキャンペーンバナーとか、1つの当たっているサムネとかを入れ込むようにしたら、要素も絞られて、使えそうなものが出てくるようになった感じですね。
sol株式会社 石橋 ゆりえ 様
「情報を足す」のではなく、「基準を1枚で示す」。 これが、それっぽい画像と、配信に載る一枚を分けていました。

実際の手順は、3つだけ
石橋様の使い方は、驚くほどシンプルです。
今はSNS広告のサムネを作る時に使っていまして。もともとあるキャンペーンバナーみたいなものをAIに読み込ませて、あとは中に入れたいメインコピーとサブコピーを1つ2つ入れて。細かく指定したい時はターゲット、何十代女性とか、そこまで入れて生成をしてしまうと、結構精度が高く出てくれるので。
sol株式会社 石橋 ゆりえ 様
参考にする1枚、入れたいコピー、必要ならターゲット。渡すのはこれだけです。
「商品が変わってしまう」問題が、なくなった
生成AIでの広告クリエイティブ制作でつまずきやすいのが、商材そのものが別物になってしまうことです。ここは、使っていて変わったと感じる点だといいます。
以前の生成エンジンだと、商品が結構変わっちゃうとか、要素を詰め込みすぎるとか、そういうことがあったんですけど。いまのエンジンになってからは、入れたい要素だけで、商品がほぼほぼ変わらない状態で生成してくれるようになったので。使えるかなというものが出てきてくれるようになりました。
sol株式会社 石橋 ゆりえ 様
1枚20分が、5分以内に
渡し方が決まると、制作のスピードが変わりました。
これを使う前が1枚20分ぐらいだったとすると、今作っていたら1枚5分もかからないんじゃないかなと思います。修正を含めて5分とか。4枚生成ぐらいを3回ぐらい出して、ちょっと修正したらいけるかな、という感じですね。
sol株式会社 石橋 ゆりえ 様
工数削減には、かなり活躍してくれているかなと思います。
sol株式会社 石橋 ゆりえ 様
※制作時間はいずれも石橋様の体感値です。

かつてはデザインツールで20〜30分。いまは修正まで含めて5分以内。制作にかかる時間は、体感でおよそ4分の1になりました。
そして、デザインツールで作ったものとの品質差については、こう話します。
(デザインツールで作ったものの方が良い、と感じることは)以前はあったんですけど、今はほぼほぼなくなりましたね。手作り感がどうしても出てしまうんですよね。
sol株式会社 石橋 ゆりえ 様
速くなったから、「試せる」ようになった
時間が縮んだことの意味は、単なる効率化にとどまりません。石橋様がProAIを使っているのは、新しい訴求を試す場面です。
成果の面では、以前やっていたのと変わらない、同水準ぐらいのものを出せています。新しい訴求を試す、テスト的にはかなりいいかなと思います。
sol株式会社 石橋 ゆりえ 様
1枚に20分かかるなら、試せるパターンの数は自然と限られます。5分で出せるなら、同じ時間でより多くのパターンを市場に当てられる。成果が同水準のまま制作時間が縮めば、同じ工数で検証できるパターンを増やしやすくなります。
新しい訴求のテスト、一時的なキャンペーンの追加パターン。数が要る場面ほど、この差は効いてきます。
これから:動画と、細かい修正
一方で、まだ使っていない機能もあります。
動画はまだ使っていないですね。試してみたいなとは思いつつ、まだ試していないかなという感じです。
sol株式会社 石橋 ゆりえ 様
現場ならではの要望も伺いました。
画像の削除もできるといいなと思っているんですよね。今、テキストはワンクリックで削除できるんですけど、画像は差し替えボタンが出てきて、そもそもなくしたい、という時にシンプルに削除ができないんです。
sol株式会社 石橋 ゆりえ 様
生成された一枚をそのまま使うのではなく、細かく直して仕上げる。実際に配信している現場だからこその指摘です。この点は、動画広告分析Proの開発チームで検討を進めています。

まとめ:AIに渡すのは「量」ではなく「基準」
sol株式会社様の事例が示すのは、AI生成の質を決めるのが、渡す情報の量ではなく基準だということです。
LPをまるごと読ませれば、AIは全部を詰め込もうとする。当たっている1枚を渡せば、要素が絞られて、配信に載る一枚が出てくる。手順はシンプルで、参考の1枚、メインとサブのコピー、必要ならターゲット。それだけです。
結果として、制作時間は1枚20分から5分以内へ。成果は同水準を保ったまま、試せる回数が増えました(いずれも石橋様の体感値)。
“それっぽい画像”で止めるか、配信に載る一枚まで持っていくか——分かれ目は、AIに何を渡すかにあります。

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