「競合の広告は、ツールを開けば見られる。でも、”見て終わり”になっていないか?」——広告運用の現場では、競合調査に時間をかけても、そこからクリエイティブに落とすまではまた別の手作業です。ここまでひと続きでAIに任せられたら、と考えたことのある方は少なくないはずです。
広告代理店の株式会社Icra様は、動画広告分析Pro(DPro)で抽出した競合広告のデータ——広告を”見出し・訴求・構成などの要素に分解して、AIがそのまま読み込める形にしたもの”(これを「構造化データ」と呼びます)——を、自社で開発中のAIマーケ支援システムに流し込み、競合リサーチから制作までをひと続きの仕組みにしようとしています。「AIに丸投げ」ではなく、”実データを自社の仕組みに接続する”という一歩進んだ使い方。代表の鴻上様は、「リサーチ工数が約20分の1になる」と語ります(体感値)。その裏側を伺いました。
この事例のキーワードが「MCP」です。むずかしそうに聞こえますが、ざっくり言うと「AIに、外部のツールやデータを”直接つないで”使わせる仕組み」のこと。ここでは「自社のAIに、DProが集めた競合広告のデータをそのまま読み込ませる」イメージだと考えてください。専門知識がなくても、”データをAIにつなぐ”という発想さえ掴めれば大丈夫です。
目次
お話を伺った方
- 会社名:株式会社Icra 様
- 事業:マーケティング思考をAIシステム・研修・コンサルティングで組織に実装する会社。主なサービスは、マーケティングOSを搭載したAIシステム「CMO AI」、法人向け研修「マーケティングOSブートキャンプ」、マーケティング戦略コンサルティング(顧客理解からコンセプト・LP・広告・商談資料・ブランドまで伴走)。
- お名前・役職:鴻上 善彦 様/代表取締役
- 公式サイト:https://icra.marketing/
「競合を”見る”だけでは、制作の初速は上がらない」
広告運用では、戦略を立てる前に「どの競合が、どの媒体で、どんなクリエイティブを出しているか」を調べる工程が欠かせません。ここを丁寧にやるほど提案の質は上がります。
ところが現場では、調査はできても「調べた内容を、次のクリエイティブ制作にどう活かすか」で手が止まりがちです。競合を眺め、要素をメモし、参考にしながらまた一から作る——この分断された手作業を都度こなすと、特に少人数体制では初速が上がりません。
Icra様は、この「調査→戦略設計→クリエイティブ生成」を、人の手作業に頼らず自社のAIシステムとして”ひと続きの流れ”で回すことに挑戦しています。その”調査と素材”の心臓部に、DProのデータを据えました。
DProの本当の価値は、画面の外にある——”構造化データ”を自社AIの燃料にする
Icra様がDProに感じている価値は、ツールの画面で競合広告を「見る」ことよりも、抽出した広告クリエイティブの”構造化データ”を、API連携(システム同士を直接つないでデータをやり取りする仕組み)で自社のシステムにそのまま取り込めることにあります。
何を抜き出しているか
- ジャンルや媒体で絞り込んだ、競合の動画・バナー広告
- それらのクリエイティブを「ブロックごとに分解」した構造化データ(構成・訴求の要素)
それを自社システムにどうつなぐか
Icra様のAIマーケ支援システム「CMO AI」は、会社情報・ブランドの表現ルール(レギュレーション)・商材画像を入力すると、リサーチ→戦略設計を経て、バナーや記事LP・漫画LPのクリエイティブまで生成する構想です。その中で、DProから取り込んだ構造化データは、バナー制作時の”レイアウトテンプレート”として活用しています。ジャンルや媒体で競合クリエイティブを絞り込み、その構成の型を下敷きにすることで、ゼロから作るのではなく”効いている構造”を起点にクリエイティブを組み立てられます。
ポイントは、「AIで100%自動生成する」ことをゴールにしていない点です。手元の構造化データを起点に、人の判断と組み合わせて制作の初速を上げる——ツールを”見る”使い方から、データを”仕組みに組み込む”使い方への転換です。
「データを持っている側が、強い」——鴻上代表が語る、API連携の手応え
抽出したデータをどう活用するかが、いちばん大きい。そのデータを持っていること自体が強く、API連携で自分のシステムと繋げられるのは、AIシステムを設計できる人にとって、相性がとても良いと感じています。
株式会社Icra 代表取締役 鴻上 善彦 様
競合クリエイティブのデータを「持っている」こと、そしてそれを自分のシステムに接続して動かせること。AIシステムを組める事業者にとって、これは他社との差になり得る、というのが鴻上様の実感です。
導入前後で何が変わったかを、Icra様の言葉から整理すると次のようになります。

※ 削減できた時間・対応本数などの具体的な数値は、運用データがまとまり次第この記事に追記します。
つまづくのは”最初の入口”だけ——立ち上げを速くする一手
MCP/APIの活用で、鴻上様が挙げた”最初のつまづき”は明確でした。「何が取れて、どの条件で絞り込めるのかが、最初に分かりづらい」こと。逆に言えば、取得できるデータと絞り込み条件さえ掴めれば、そこから先の活用は一気に進むといいます。
その入口を速く越えるコツとして共有いただいたのが、「最初にMCP/APIの情報をまとめてAIに渡し、AIに理解させたうえで、使い方を答えてもらう」という進め方です。たとえばMCPのマニュアルをNotionなどに置き、AIに質問しながら使い始めると、最初のハードルを越えやすい。「マニュアルを読み込ませてから触る」だけで、立ち上げの体感はかなり変わるといいます。
まとめ:MCPは「データ × 活用設計」で、競争優位の武器になる
Icra様の事例が示すのは、MCP/APIの価値が「競合広告の構造化データを、自社の仕組みに接続して動かせること」にあるということです。ツールを画面で使うだけでなく、データを自社のAI・業務フローの”燃料”にできると、調査・戦略・制作の初速が変わります。
そして最大のポイントは、「データを持っていること」自体が強みになるという視点。自社の仕組みにデータを流し込める事業者にとって、これはそのまま競争優位につながります。要は、”見る”で止めるか、”仕組みに組み込む”まで踏み込むか——ここで差がつきます。
「競合クリエイティブの分析を、”見る”で終わらせず、自社の調査・制作の仕組みに組み込みたい」——そう感じた方は、まずは自社の業務のどこにデータを効かせられるかを整理するところから。動画広告分析Proに相談してみませんか?
