新しい媒体で広告を始めるとき、たいていはまず競合を見に行きます。同じような商材で当たっているものを探して、そこから訴求を組み立てる。誰でもやることです。では、その業界に競合がほとんどいなかったら、どうしますか。探しても手本が出てこない。しかも、社内にもその媒体の前例がない。そこから一本目のクリエイティブをつくる作業は、想像以上に重くのしかかります。
空き家や訳あり不動産の買取・再販を手がける株式会社AlbaLink様(東証グロース市場上場)は、新たにMeta広告とTikTok広告を立ち上げました。社内にも前例が少なく、業界内にも参考にできる事例が限られるところからのスタートです。そこで採ったのが、動画広告分析Pro(DPro)のMCPをAIエージェント(Claude Code)につなぎ、業界の外から手本を引いてくるという方法でした。競合分析から台本づくりまで、人の手でやれば5〜6時間はかかっていた工程です。マーケティング部の笹沼洸夢様に、その中身を伺いました。
この事例のキーワードが「MCP」です。むずかしそうに聞こえますが、ざっくり言うと「AIに、外部のツールやデータを”直接つないで”使わせる仕組み」のこと。ここでは「自社で使っているAIに、DProが集めた広告データをそのまま読ませて、そこから先の作業まで任せる」イメージだと考えてください。専門知識がなくても、”データをAIにつなぐ”という発想さえ掴めれば大丈夫です。
お話を伺った方
会社名:株式会社AlbaLink(アルバリンク) 様
事業:空き家、事故物件、再建築不可物件など、一般の不動産市場では流通しにくい物件の買取・再販。「2100年 空き家ゼロ」を長期ミッションに掲げる。東証グロース市場上場(東京都江東区/2011年1月設立)
お名前・役職:笹沼 洸夢 様(マーケティング部)
公式サイト:https://albalink.co.jp/
手本がない業界で、一本目をどうつくるか
笹沼様は、AlbaLink様のマーケティング部で広告領域を担当されています。
これまで広告の中心はリスティングでした。「空き家 売りたい」のように、困りごとがはっきり言葉になっている人に届ける形です。ここに新しく、MetaとTikTokが加わりました。検索していない人にも届ける、まったく別の戦い方が必要になります。
ところが、始めようとして最初にぶつかったのが「参考がない」という壁でした。
空き家の買取という領域で、AlbaLink様は自社メディアも含め、早くから積極的に手を動かしてきた側です。裏を返すと、手本にできる他社の広告が、業界の中を探しても見つけにくい。新しい媒体を立ち上げるときに普通なら踏む「先行事例を見て型を掴む」というステップが、そもそも踏めませんでした。
その状態で情報を集めていて見つけたのが、DProだったといいます。
隣の業界に、同じ構造の勝ち筋がある
笹沼様がやったのは、DProのMCPをClaude Codeにつなぎ、参考になりそうな動画広告を出させることでした。
ここで効いてくるのが、同じ業界にこだわらないという発想です。
たとえば車の買取。売りたい人から直接買い取り、査定が入口になり、「高く」「早く」「手間なく」が訴求の軸になる。構造として、空き家の買取とよく似ています。商材は違っても、人が動く理由の形が同じなら、当たっているクリエイティブの型から、確かな示唆を得られます。
DProは業界を横断して広告データを集めています。だから「自分の業界に競合がいない」という状況でも、構造の近い業界から手本を引いてくることができる。ここが、同業だけを見ていてはなかなか届かないところでした。
空き家の業界だと、参考にできる他社の広告を見つけること自体が大変でした。DProを使うと、車の買取のように近い形の業界から事例をすぐ引いてこられます。とくにClaude Codeとつなぐと、ポンと出てくる。ゼロから考え始める必要がなくなったのは大きいです。
株式会社AlbaLink マーケティング部 笹沼 洸夢 様
※ 読みやすさのため、話し言葉を整えています。
「ゼロから考え始める必要がなくなった」。この一言に、今回の価値が詰まっています。時間が短くなったこと以上に、白紙から始めなくてよくなったことのほうが大きい。
5〜6時間かかっていた工程が、大きく削れた
では、実際にどれくらい変わったのか。
競合を探し、内容を確認し、そこから自社の台本に落とすまで。人の手でやれば体感で5〜6時間は普通にかかる工程だと笹沼様は話します。いまはその大半が要らなくなりました。体感値で、1回あたりおよそ5時間の削減です。
ひとつ補足しておきます。AlbaLink様はMeta・TikTokの立ち上げとほぼ同時にDProを導入されているため、これは「導入前後の実測値」ではありません。同じ作業を人の手でやった場合との比較で、笹沼様の体感値です。それでも、新しい媒体を立ち上げる負荷そのものが下がったという意味では、数字以上に効いています。

※ 数値は笹沼様の体感値です。案件や商材によって変わります。
もう少し具体的に、一本目の広告ができるまでの流れで見てみます。

いまは台本まで。動画は人が握っている
AlbaLink様が自動化しているのは、いまのところ台本づくりまでです。そこから先、動画は自社で素材をつくり、編集の工程を経て仕上げています。
「動画まで一気につくれないか」という話も出ました。ただ、ここは慎重です。テキストから動画を生成する場合、同じ指示を出しても毎回まったく違うものが返ってきます。参考にしたい動画のイメージを言葉に置き換える時点で、解釈の幅が大きすぎるためです。それらしいものはつくれても、狙ったものを安定してつくるのは、まだ簡単ではありません。
だから、いまは台本まで。AIに任せる範囲を欲張らず、効果が確実なところに絞る。これは他の導入企業にも共通する、うまくいっているパターンです。
一方で、次に試したいことも挙がっていました。同じ指示を複数のAIモデルに投げて、台本の案を並べて出させる形です。どのモデルが良い答えを返すかは事前に読めないので、複数出させて人が選ぶ。出力がぶれることを、欠点ではなく前提として設計に織り込む考え方で、こちらは現在検討中とのことでした。
どこまでを仕組みに任せ、どこを人が握るのか。整理すると次のようになります。

まとめ:業界の中に手本がないなら、業界の外から引けばいい
競合が少ない業界ほど、MCPは効きます。AlbaLink様の使い方が、それを示していました。
競合がひしめく市場なら、同業を眺めるだけでもヒントは拾えます。しかし、自社が早くから走ってきて比較対象が少ない領域では、その手が使えません。手本がないまま、毎回ゼロから発想するしかない。ここに、業界を横断したデータを直接AIに読ませられる仕組みが入ると、状況が変わります。
見に行くのではなく、引いてこさせる。同業からではなく、構造の似た業界から。
競合広告を「見る」で止めるか、AIに「つないで、つくらせる」ところまで踏み込むか。差がつくのは、たぶんそこです。
「自分たちの業界には参考になる競合がいない」。そう感じている方こそ、業界の外に手本があるかもしれません。動画広告分析Proに相談してみませんか?
