事例

【事例】“管理画面のチューニング”では、差別化できない|N1起点の設計に「勝っている型」を組み込む使い方(KURO HOLDINGS株式会社様)

広告代理店の差別化は、むずかしい。管理画面のチューニング技術は、突き詰めるほど各社で似通っていきます。本当に効くのは、その一歩手前——「どんなユーザーに、どんなニーズがあるのか」を、どれだけ“事実”で掴めているか。ところが現場では、その土台にあるマーケティングの本質や原理原則こそ「形骸化している」。問われているのは、思想を持ってそこを設計し直せているか、です。

運用型広告を手がける広告代理店・KURO HOLDINGS株式会社様は、独自の思想を実装した社内ツール「CMI」の中に、動画広告分析Pro(DPro)のMCPを組み込んでいます。たった一人の顧客(N1)を起点に、分析からクリエイティブまでを設計する。その最後の“味付け”として、市場で勝っている型をDProから参照する——。その設計思想と使い方を、同社でマーケティングソリューション事業部マネージャー・インターネット広告事業統括を務める佐々木直哉様に伺いました。

この事例のキーワードが「MCP」です。むずかしそうに聞こえますが、ざっくり言うと「AIに、外部のツールやデータを“直接つないで”使わせる仕組み」のこと。ここでは「AIに、DProが集めた“市場で勝っている広告”のデータを取りに行かせて、自社のAIワークフロー(CMI)にそのまま流し込む」イメージだと考えてください。

お話を伺った方

会社名:KURO HOLDINGS株式会社 様
事業:運用型広告の企画・運用とクリエイティブ制作を手がける広告代理店。N1起点の独自メソッド「CMI」を軸に、広告運用を中心とした総合デジタルマーケティング支援サービスを提供。
お名前・部署:佐々木 直哉 様(マーケティングソリューション事業部マネージャー・インターネット広告事業統括)
公式サイト:https://kuroholdgs.jp/

「管理画面のチューニングでは、差別化できない」

広告代理店にとって、差別化は永遠のテーマです。KURO HOLDINGS様の答えは明快でした。運用テクニックではなく、“思想”で戦う。

広告代理店さんって、差別化がむずかしいじゃないですか。なので、独自の考え方、思想に基づいて運用するっていうことを今やってまして。これが「CMI」っていう、社内で呼んでいるツールなんですけども。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様

多くの代理店が管理画面のチューニングを語る。だが、そこに本質的な差はつきにくい。KURO HOLDINGS様が見ているのは、もっと手前でした。

管理画面のチューニングテクニックとかって、差別化ないので。管理画面調整や、最新の媒体アップデートの話や業界トレンドの話をしている印象ですが、結局どんなユーザーに向けて、何のニーズがあって、っていうところの、マーケティングの本質や原理原則部分が、やっぱり形骸化してるなと。そこに対して、御社(DPro)のツールを組み込ませていただいてます。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様

起点は“たった一人”——N1から、すべてを設計する

CMIの中心にあるのは、N1(たった一人の顧客)です。市場をリサーチし、その顧客像を仮説として立て、そこから広告クリエイティブを分解して組み立てていきます。

ロジックを説明すると、まず市場のリサーチをして、その後、仮説のN1像を立てます。で、広告のクリエイティブを五つの要素に分解していて、この一環で御社を使わせていただいてます。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様

顧客の“生の声”を、事実として集める

特徴的なのは、“顧客の生の声”を事実として集めることへのこだわりです。統計やシンクタンク調査だけでなく、生活者が実際に書き込んだ言葉を、まるごと拾いに行きます。

リサーチは、公的機関の統計データだったり、シンクタンク調査を使ったりとか。あと、顧客を起点にするっていう発想なので、生の声を基本的に抽出したい。口コミサイトを中心にユーザーの声を収集してるんですよ。実際の顧客のニーズを、事実としてちゃんと収集してるっていう考え方ですね。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様

集めた声を、三つの層に整理する

集めた声は、そのまま使うのではなく、三つの層に整理されます。

それを、Pain(ペイン)、Job、Insightっていう——顕在的な課題と、本当のゴールと、本人すらも気づいていないゴールに分類してやってってます。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様

媒体ごとに、“刺さり方”を変える

N1が定まると、次は「どの媒体で、どう見せるか」。同じ顧客でも、出会う媒体によって響くツボは変わります。媒体に対してユーザーが期待する体験が、そもそも異なるからです。

立てたN1のPain・Job・Insightがあって。で、どの媒体でその広告に触れるかで、全然違うと思うんですよ。リスティングであれば、KWが顕在ニーズとも捉えられるので、端的に解をTD(広告のタイトルと説明文)に入れ込んだほうが刺さるし、TikTokであれば割と刺激の強いフックの方が刺さる。そのような、媒体と見せ方というところがあると考えています。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様

さらに、顧客の心理ステータス——「今すぐ解決したいのか、なんとなくか」「感情は上向きか、下向きか」——まで見て、心理学の型を用いながら訴求を決めていきます。ここまでが、DProを入れる“前”の設計です。

最後の“味付け”は、市場で勝っている型を参照する

ここでようやく、DProが登場します。KURO HOLDINGS様にとってDProは、設計の最後に効かせる“勝ち型”のデータソースです。

最後、味付けとして「市場で勝っている型を参照する」っていうところ。ここで御社(DPro)を入れてる、みたいなイメージです。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様

抽出したデータを、N1のペルソナと突き合わせる

DProのMCPで抽出したデータ——広告を見出し・訴求・構成といった要素に分解し、AIがそのまま読み込める形にしたもの(これを構造化データと呼びます)——は、社内のナレッジ基盤に蓄積され、立てたN1のペルソナと突き合わされます。

これがまさしく御社のMCPで抽出したやつなんですよ。立てたN1のペルソナがあって、そのN1にマッチするトレンド訴求が「これ、相性いいかもしれないです」みたいな感じで出てくる。台本とかも、自然言語処理をなるべくやりやすいように分解して組んでます。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様

参照できるか・できないかまで、データで判断する

勝っている型を、そのまま参照できるか・できないか。その判断まで、データに紐づいています。

ここで出てくるやつが、「この型はそのまま参照できるよね」みたいな。「これは、例えば値段とかが全然違うから参照できないよね」みたいな。配信費とかももちろん抽出させていただいてるので。これがめちゃくちゃ伸びてるんで、これを優先的に、いいところだけ参照します、みたいな感じでクリエイティブを作っていく。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様

MCPで、“手作業”を仕組みに変える

DProとの接続は、MCP。抽出したデータは、そのまま社内のナレッジ環境に蓄積されていきます。そしてその仕組みは、さらに広げている最中だといいます。

一応今、MCPで記事の文字起こしも全部取れるように、っていうのをちょうど進めてるんで。情報がより多く取れるかなと。ジャンルによっては「このジャンルじゃないんだけどな」みたいなものも入ってきたりするので、その辺の精度も今ちょうど整えてます。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様

成果:CPA半分・予算3倍、そして“経験が少なくても作れる”

思想を仕組みに落とし込んだ先に、数字がついてきました。

成果ベースで言うと、最大でCPA半分になって、予算3倍にできた、とかはありますね。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様
CPAは半分に、予算は3倍に

属人化していた設計が、再現できる仕組みになる

インパクトは、単発の数字にとどまりません。属人化していたリサーチとクリエイティブ設計が、誰でも回せる再現性のある仕組みに変わりました。

経験が少ない人でも、ある程度のものがもうできるようになったので。リサーチとか、クリエイティブを考えるとかって、真剣に設計するとかなりリソースがかかると思います。教育も我々のようなベンチャー企業ですとなかなか十分な時間もとることができない。それが、いろいろ成果が出始めてて。このCMIを使って言うと、まだまだ検証数は少ないですが、CPA下がりながらコストを伸ばせる例が8割くらいの確率で実現できています。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様

再現性は、そのまま提案力に変わる

この再現性は、そのまま提案力に変わります。

おかげさまで、お付き合いが増えるようになってきてまして。競合代理店との差別化で、提案のときに、CMIを活用した新たなターゲットの軸に加えて、DProのMCPのおかげで獲得が取れそうなクリエイティブサンプルを提示できるので、具体性と差別化が伝わりやすい印象です。ほとんどのお客様があらゆる施策を試されており、常に新しい施策を模索されているので、成果ももちろん大事ですが、新たなマーケティング戦略立案に向けたリサーチプロセスとしてもご活用いただけるケースもあります。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様
クリエイティブ設計の流れの変化

それでも、最後は人が決める

仕組みで大半を自動化しても、最終の判断(何を採用するか)と品質は、人が仕上げる。そこは、はっきり線を引きます。

(CMIは)配信データを構造化データで学習し、新たなN1の発掘と勝ちとなるPain/Job/Insightを自動で探索するという設計になっています。ただ、かなりの数のアウトプットを出すことができるので、何を採用するかは運用者が意志をもってディシジョンすることを大切にしています。最後のアウトプットは、どうしてもやっぱり人の手が必要になってくる感じかな、とは思ってます。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様

そのうえで佐々木様は、DProが持つデータそのものの価値を強調します。

市場の広告データを大量に保有されている点は、当社が大事にしているファクトフルネス思考ともかなり合致します。あらゆるマーケティングデータを統合し、より有機的なマーケティング活動を支援するためにも、DPro MCPの存在は必要不可欠だと感じています。

KURO HOLDINGS株式会社 佐々木様
CMIに任せる仕事と人が決める仕事

まとめ:差別化は、“管理画面の外”にある

KURO HOLDINGS様の事例が示すのは、広告代理店の差別化が「運用テクニック」ではなく「顧客をどれだけ事実で理解し、設計に落とせるか」にある、ということです。N1起点の思想(CMI)という土台があり、その最後の一手として、市場で勝っている型をDProのMCPから参照する。そして、大量に出てくる案の中から何を採るかは、人が意志を持って決める。思想とデータと人の判断がかみ合ったとき、成果は一度きりのものではなく、再現できる仕組みになります。

管理画面の中だけで戦うか、その外側に自社の思想を設計するか——ここで、代理店の差別化に差がつきます。

KURO HOLDINGS株式会社様のサービス詳細はこちら:https://kuroholdgs.jp/


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