競合の動画広告を調べる方法|比較項目と改善への使い方

競合の動画広告を見つけても、再生数だけでは「何を自社で試すべきか」は決まりません。広告を見るたびに参考になりそうな表現を保存しているものの、いざ制作に入ると、どれを使えばよいか迷うこともあるはずです。

競合リサーチでは、同じ顧客層に向けた広告を集め、訴求・構成・オファーを並べて比較します。そのうえで、自社の商品に合う要素を選び、広告テストで確かめます。この記事では、その手順と、広告データから判断できる範囲を整理します。

最初に「何を決めるための調査か」を一つ決める

調査を始める前に、今回の制作で迷っていることを一文にします。例えば、「商品の使いやすさと価格のどちらを冒頭で伝えるか」「商品だけを見せるか、使用場面から始めるか」といった問いです。

目的が決まると、見るべき広告も絞れます。冒頭の見せ方を考えるなら最初の場面を、オファーを考えるなら特典や申込条件を比較します。参考広告を大量に集めることより、制作で決めるべきことに答えを出すことを優先します。

調査の対象は、自社と同じ顧客層・用途・価格帯の商品から選びます。同じ業界でも、購入理由が違う商品を混ぜると、比較した結果を自社へ応用しにくくなります。

例えば、同じ化粧品でも「敏感肌の人が日常的に使う商品」と「特別な日の仕上がりを重視する商品」では、伝えるべき価値が違います。商品名だけでなく、誰が何のために買う商品なのかを確認してから並べましょう。

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競合の広告を、同じ条件で集める

媒体、確認期間、対象商品をそろえて広告を集めます。条件を記録しておくと、別の担当者が調査を引き継いだときや、後から広告が追加されたときにも比較できます。

最初に記録する項目は、広告主名、商品名、媒体、広告のURL、確認日です。配信状況や掲載期間を確認できる場合は、その情報も添えます。公開情報から分からない項目は空欄にし、推測した値で埋めません。

同じ映像で文言やオファーだけが違う広告を見つけたら、その違いも残します。別々の表現として数えるのか、同じ構成の派生版としてまとめるのかを決めておくと、広告の本数に引っ張られずに比較できます。

広告が多い会社だけを調べる必要はありません。今回の問いに関係する表現があれば対象に含め、関係の薄い広告は外します。

DProで検索条件を保存する手順

毎回同じ条件から調べたい場合は、DProのフィルターを保存しておくと、担当者が変わっても調査の出発点をそろえられます。画面付きの公式操作ガイドでは、TikTokのスキンケア広告を例に、次の手順を紹介しています。

  1. 「媒体」でTikTokを選び、「ジャンル」でスキンケアを選ぶ。
  2. メニューバーの「フィルター」にある「+」を押す。
  3. 後で条件を判別できる名前を入力し、Enterで保存する。
  4. 次回は保存したフィルターを呼び出し、同じ条件で広告を確認する。

これは公式ガイドに掲載された操作例です。実際の調査では、自社に合う媒体・ジャンルに置き換えたうえで、対象の広告主・商品を確認します。ジャンルを指定しただけでは、競合以外の広告も含まれるためです。

調査メモには、取得日、対象の媒体・ジャンル、比較する会社と商品、除外した商品と理由を残します。期間を指定する場合は、その日付が公開日・配信日・データ取得日のどれを指すかも確認します。表示項目は公式ガイドのカラム設定から調整できます。

訴求・構成・オファーを比較表にする

「分かりやすい」「勢いがある」といった感想だけでは、制作指示に使いにくくなります。広告内で確認できる表現に分解して記録します。

比較項目 記録すること 制作で検討すること
冒頭 最初の映像、言葉、テロップ どの場面から見せるか
読者の悩み 誰の、どの不便を取り上げているか 自社の顧客にも当てはまるか
商品の便益 使用後に何が変わると説明しているか 自社商品で事実として言えるか
根拠の見せ方 実演、仕様、利用者の声など 自社で用意できる根拠は何か
構成 問題提起から商品説明・案内までの順番 説明をどの順序にするか
オファー 価格、特典、申込条件 自社が実際に提供できる条件か
遷移先 広告を押した先のページ 広告の説明とページが一致しているか

例えば、広告Aは「忙しい朝の困りごと」から始まり、広告Bは「商品の実演」から始まっているとします。この時点で分かるのは、導入の表現が異なることです。どちらが多く売れたかは、売上や購入件数のデータがなければ判断できません。

比較結果には「確認したこと」と「試したい仮説」を別々に書きます。この区別があると、制作チームや代理店へ、根拠のない成功法則を渡すことを防げます。

例えば、調理時間を短縮できる食品の広告を企画するなら、次のように記録します。架空の広告を使った記入例であり、効果を検証した実績ではありません。

広告 確認できた表現 自社で試すなら
A 冒頭で完成した料理を見せ、その後に調理工程を説明 完成形から始めると、用途が伝わるかを試す
B 冒頭で調理に困っている場面を見せ、商品を紹介 顧客が実際に感じている手間を示す構成を試す

制作担当者へは、この表と参考URLを渡し、「今回は冒頭だけをA型とB型で作る」と依頼できます。商品の効果や調理時間は、競合の記載を借りず、自社で確認した条件で説明します。

広告本数や再生数だけで、効果を決めつけない

競合の公開データは、表現を調べる手がかりです。競合の売上や利益をそのまま示すものではありません。

広告の本数が多くても、各広告の配信量が同じとは限らないため、本数だけで広告予算の配分は分かりません。再生数が多くても、購入につながっているとは限りません。掲載期間が長い広告も、費用対効果を確認できない場合は「長く掲載されている広告」として記録します。

データに「推定」とある場合は、資料へ転記するときもその表記を残します。推定費用を確定した出稿額として扱ったり、異なる条件の再生数をそのまま優劣の順位にしたりしないことが大切です。

調査結果を共有するときは、次のように表現すると判断の範囲が伝わります。

  • 確認したこと:比較した広告では、商品の使用場面を冒頭に置く構成が見られた。
  • 仮説:自社でも、商品説明より先に使用場面を見せると内容が伝わりやすいかもしれない。
  • 次の検証:冒頭だけが異なる広告を用意し、自社の配信結果で確かめる。

DProで競合リサーチを進める場合

動画広告分析Pro(DPro)は、競合広告のリサーチと、クリエイティブの企画・分析を支援するサービスです。公式サイトでは、媒体を横断した広告リサーチ、クリエイティブランキング、広告主の配信状況の分析、訴求・構成の分析を案内しています。機能の説明

利用する際も、最初に調査目的を決める手順は同じです。今回調べたい商品や競合を定め、表示された広告の内容を確認し、比較表に必要な項目を残します。ランキングから広告を見つけた場合も、順位だけで採用を決めず、自社の商品・顧客・制作条件に合うかを見ます。

代理店へ共有するなら、参考広告のURLとともに「参考にしたい部分」「自社では使えない表現」「今回確かめたいこと」を渡します。広告を丸ごとまねる指示では、競合と自社の違いが抜け落ちてしまいます。参考にするのは説明の順序や見せ方とし、素材、コピー、実績は自社で使えるものを用意してください。

導入事例:GMO NIKKOが競合分析を提案資料へつなげるまで

GMO NIKKO株式会社の導入事例では、複数の競合を画面上で個別に調べていた作業を、DProとAIを接続するMCP連携で進めています。期間や比較したい対象を言葉で指定し、取得したデータをレポートや提案資料の材料へまとめる使い方です。

担当者は、従来2時間ほどかかっていた作業が30分程度になったと説明しています。これは本人の体感に基づく調査・資料作成の所要時間で、広告の売上改善率ではありません。事例では、指定した複数商品のうち一つしか取得されない場合もあるとして、対象の取りこぼしを確かめる必要にも触れています。

この使い方を自社へ取り入れるなら、最初に「取得対象」と「提出してほしい形」を一緒に渡すのが実務上のポイントです。例えば、次のような依頼文から始められます。

指定した競合3社について、対象商品・媒体・期間をそろえて動画広告を比較してください。広告ごとに参照URL、冒頭の表現、商品説明、オファーを表にしてください。取得できなかった会社・商品は別に一覧にし、推定値には推定と付けてください。最後に、自社で試す冒頭の案を一つ示してください。

これは本記事で作成した依頼例です。実行時には会社・商品・媒体・期間を指定し、返ってきたURLから元の広告を開いて、比較対象と記述が一致するかを確認します。提案資料にはその比較表と、自社で用意する映像・根拠・テスト条件を添えます。

導入を検討する場合は、自社が調べたい媒体・商品について、必要な広告や情報を確認できるかを確かめます。利用条件は公式窓口で確認できます。

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調査を一つの広告テストにつなげる

調査の最後に「今回、何を変えるか」を一つ決めます。例えば冒頭の見せ方を試すなら、商品説明やオファーまで同時に変更せず、差を確認しやすい形にします。

評価指標は、その広告の目的に合わせます。購入を目的とする配信なら、再生数だけでなく購入件数や獲得費用まで確認します。再生は増えたものの購入が増えない場合は、今回の変更が購買に有効だったとはまだ言えません。

結果を残すときは、変更した要素、配信条件、確認期間、費用、成果をセットにします。結果が少ない段階では結論を急がず、比較できるだけの情報があるかも確認します。

制作担当者へ渡す、1本分のテスト指示

調査を制作へ渡すときは、次の項目を一枚にまとめます。食品広告で冒頭を試す場合の記入例です。

  • 試すこと:調理工程から始まる現行案に対し、完成した一皿から始まる案を作る。
  • そろえること:冒頭以外の説明、動画の長さ、価格、販売ページ、配信対象をできる範囲で統一する。
  • 用意するもの:自社商品の完成映像、実際の調理工程、使用条件が確認できる商品情報。
  • 評価するもの:購入件数と購入1件あたりの広告費。視聴の変化は、その途中の指標として併記する。
  • 終了時に残すもの:実施期間、各案の配信費用と購入件数、継続する案、次に調べる点。

競合リサーチは、参考広告を見つけたところで終わりではありません。観察した表現を自社で試せる仮説に変え、その結果を次の制作へ戻すところまでを、一つの業務として進めましょう。


編集・発行:株式会社KASHIKA

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